勤労挺身隊訴訟の大法院判決1年に当たり
早期全面解決を求める声明
三菱重工業株式会社(以下、「三菱重工」という)に対して勤労挺身隊被害者ら(以下、「原告ら」という)への賠償を命じた判決が韓国大法院において確定してから来る11月29日で1年を迎える。
この間、日本の裁判所において日韓友好のために訴訟に加わったと証言した遺族原告である金中坤が解決を見ることなく死去したことは、痛恨の極みである、
90歳を迎える原告らに残された時間はもはやほとんどない。
原告らは、韓国大法院判決を受けて、三菱重工に対して、話し合いによる解決を求めてきたが、三菱重工はこれを拒み続けている。
日本政府は、日韓請求権協定によって解決済みとの立場から、同社に対して、大法院が支払いを命じた賠償を支払わないように求めている。
原告らが被害の回復を求めて名古屋地方裁判所に提訴してから、すでに20年以上が過ぎ去った。
日本における訴訟は、2008年11月11日、最高裁で敗訴が確定した。韓国における訴訟は、日本訴訟を引き継ぐ形で提訴されたものである。
韓国大法院判決は、原告らの請求を「不法な植民地支配・侵略戦争の遂行に直結する反人道的不法行為に基づく慰謝料請求権」は、日韓請求権協定の対象外であるとして、原告らの賠償請求権を認めた。
日本訴訟の判決も、日韓請求権協定によって失われたのは両国の外交保護権であり、個人の実体的請求権は消滅せず、失われるのは訴権に止まるとしている。原告らの請求権が、日韓請求権協定の対象か否かという点において、両国の裁判所の判断は異なるものの、個人の実体的請求権が残されたとする点において、両国の裁判所の判断は共通している。
個人の請求権が消滅していないことは日本政府も認めるところである。
しかも、日本訴訟における名古屋高等裁判所判決(2007年5月31日)は、原告らに対する日本国及び三菱重工の行為を強制連行、強制労働に該当することを明快に認め、個人の尊厳を否定し、正義・公平に著しく反するとして、日本国及び三菱重工の不法行為を厳しく指弾している。
原告らが幼い少女の時期に受けた被害の回復は、人権の回復の問題であり、我々は、三菱重工が真摯に被害事実に向き合い、原告らとの話し合いによる全面解決に応ずることを求めるとともに、日韓両国政府が、植民地下における反人道的不法行為による被害の回復を図ることを旨として、協力して本件に臨むことを強く求める。
2019年11月27日
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団
団長
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会
共同代表
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