2024年10月23日、名古屋三菱・女子勤労挺身隊訴訟原告で、2018年11月に大法院で勝訴判決を受けた梁錦徳(ヤン・クムドク)さんが、日帝強制動員被害者支援財団の第三者弁済を受け入れられました。梁さんらの闘いを支援してきた名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会(スタッフ会議)が表明した見解を公開します。


「私たちの立脚点」

 ヤン・クムドク (梁錦徳)ハルモニが、ユン・ソクヨル(尹錫悦)政権の「第三者弁済」を受け入れました。ヤン・クムドク (梁錦徳)ハルモニやご家族が翻意した動機に理由や経緯は分かりません。

 

 私たちは、強制動員被害者の意志を尊重します。被害者を支えてきたご家族の苦悩の選択を尊重します。強制動員の被害者が、どのような選択をしようが、私たちは、被害者に寄り添って、被害者の傍らに立ちたいと思います。

 

 私たちは、「第三者弁済」受け入れによって、三菱重工に「奪われた青春奪われた人生」のほんの幾分かでも取り戻すことができ、ヤン・クムドク (梁錦徳)ハルモニの人生の最晩年に花を添えることができたなら、ヤン・クムドク (梁錦徳)ハルモニの長過ぎた闘いも、私たちの努力も無駄ではなかったと思います。ハルモニの残された日々が、安らかであってほしいと願っています。

 

 私たちは、ヤン・クムドク (梁錦徳)ハルモニとご家族に苦渋の選択をさせた三菱重工などの加害企業に対し深い憤りを表明します。加害の当事者でありながら第三者を装い傍観してなすすべなく「政治の問題だ」として政治家や政権の機を伺い、右往左往しながら、結局は被害者を見殺しにする「自主性の無さ」と大法院(最高裁)判決を無視する「ずる賢さ」を許すことができません。

 

 私たちは、植民地支配を正当化し、侵略戦争を美化する日韓両政府と、それを後押しする米国政府に強く抗議します。強制動員被害者は、1965 年の日韓条約(日韓請求権協定)で見捨てられ、ユン大統領と岸田前総理の「日韓友好」では無視されています。強制動員被害者は、被害の甚大さゆえか、空襲被害者と共に日本の戦後補償の枠外に置かれ忍従のみを強いられています。

 

 私たち「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」(支援する会)の活動は、日本の植民地支配と侵略戦争に翻弄された被害者が、裁判を通して踏みにじられた人権と尊厳を回復し傷つけられた心身の傷を癒す運動でした。そしてそれは、日本に巣食う日本帝国主義と軍国主義を日本から追放する闘いでもありました。「支援する会」の活動は、強制動員被害者の「力」となるだけでなく、巡り巡って私たち自身と民主主義を守る闘いでした。

 

 私たちは、日本政府あるいは韓国政府の人権と人道に反する不条理な戦後処理の是正を求めてきました。名古屋高裁(確定判決)は、加害の事実と違法行為を認めました。韓国大法院(最高裁)は、日本帝国主義の植民地支配を断罪し損害賠償を認めました。日韓連携で勝ち取った成果です。そして、三菱重工に強制動された故パク・ヘオクさん(1930~2022)と故チョン・チャンヒさん(1923~2012)のご遺族は、「第三者弁済案」を拒否しています。

 

 私たちは、私たちの運動の原点「東南海地震犠牲者追悼記念碑」の「悲しみを繰り返さぬように」を胸に刻み、「新たな戦前」を「新たな平和」に塗り替えるために、「支援する会」の活動を維持し、「強制動員市民の会」との連帯を強化し、今は亡き原告らの無念の想いを受け継ぎ、第三者弁済を受け入れた被害者にも、韓国大法院判決の履行を求める被害者にも、三菱重工に反省と誠意ある謝罪をさせるために「金曜行動」を継続し「ほうせん花」東京公演を成功させたいと考えています。 会員の皆さまのご理解とご協力を切にお願い致します。

 

2024 年10 月24 日

スタッフ会議一同