【声明】

2023年10月27日韓国大法院判決5周年にあたっての声明 

「『解決策』では解決にならない!今こそ全ての被害者が納得する解決を!」

 

 

強制動員問題解決と過去清算のための共同行動 

  (https://181030.jimdofree.com/)

 

 

 2018年10、11月、韓国大法院は強制動員被害者が訴えた訴訟(3件)で、被害者の請求を認め被告日本企業に賠償を命じる判決を出しました。それから早5年の歳月が経過しようとしています。 

 

 被告企業はこの判決に背を向け、それを履行しませんでした。このような中、韓国の尹錫悦政権は本年3月に第三者弁済という「解決策」を提起し、悪化した日韓関係の修復を図りました。この「政治決着」以降、両国首脳会談は幾度も開催され、「良好」な関係が築かれていると言われます。 

 

 しかし、肝心の強制動員問題は解決していません。「解決策」は大法院判決の強制執行を回避するための弥縫策でしかなかったからです。3訴訟の原告のうち11名の原告は第三者弁済を受入れました。しかし、長く裁判をたたかってきた生存原告を含め4名の原告は「解決策」に反対しています。被告企業が謝罪もしなければ、償いのためのお金も出さない、これでは解決にならないからです。 

 

 このような事態に焦った韓国政府は、第三者弁済を拒否している原告に対し賠償金相当額の供託手続きをとりました。しかし、供託手続きは全て不受理となりました。これに対する異議申立ても全て棄却されました。今や韓国政府が打ち出した第三者弁済という「解決策」そのものに法的疑義が突きつけられていると言っても過言ではありません。 

 

 韓国、日本の世論調査でも、「『解決策』で解決(決着)するとは思わない」という声が多数を占めています。韓国の国政監査でも与野党を問わず、「『コップの残りの半分』は満たされていない」「日本側の反応が不十分」と指摘しています。「解決策」が“持続性”をもつということは殆どあり得ません。 

 

 日韓両政府は今こそ、内外の先例に学び、また「国際人権法の重大な違反および国際人道法の深刻な違反の被害者に対する救済および賠償の権利に関する基本原則とガイドライン(2005年12月16日、国連総会)」に依拠しつつ、強制動員という反人道的不法行為の被害者をどう救済すべきかについて真剣に検討するときです。何よりも生きて今も、人権と尊厳の回復を訴えている被害者の声に耳を傾け、それに応える解決策を見出していくべきです。 

 

 被告企業は、「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護、尊重及び救済』枠組実施のために

(A/HRC/17/31)」(2011年3月21日)が規定する原則、人権尊重の責任を果たすべきです。 

 ただ、残された時間は多くありません。被害者たちは年老い、人生の残された時間はあと僅かです。一日も早く被害者たちが納得する解決を実現しなければなりません。 

 

 私たちは本年3月6日の声明で、「私たちは、被害者ととともに、(1)日本政府・被告企業が強制動員の事実を認めて真摯に謝罪し、その証として償いのために資金を拠出し、同じことを繰り返さないための措置を具体的に講ずること、(2)そのために被害者原告及び遺族との協議の場を設けること、を求めて運動を続けていきます。」と述べました。 

 

 私たちは本日、大法院判決5周年を迎えるに当たって改めてこのことを表明します。 

 

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【要請書】

2023年10月27日

外務大臣

 

 上川 陽子 様

 

強制動員問題の解決に向けての要請

 

 

強制動員問題解決と過去清算のための共同行動 

  (https://181030.jimdofree.com/)

 

 

 日韓関係の改善に向けての大臣のご努力に敬意を表します。

 

 3月6日、韓国政府が「徴用工」問題の「解決策」を発表してから7か月余が経過しました。

 日本政府は、この「解決策」を「日韓関係を健全な関係」に戻すものと評価し、「この機会に」と断りを入れつつ「日本政府は、1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」旨を表明しました。これ以降、日韓関係は改善をみました。

 

 しかし、肝心の強制動員問題は「解決」に向かっているとは言い難い状況にあります。

 大法院判決を受けた原告15名のうち11名は「解決策」を受入れ、第三者弁済によって財団から賠償金相当額を受けとりました。しかし、今も拒否している原告が4名います。韓国政府は、これらの原告に対し賠償金相当額の供託を行いました。しかし、それはすべて不受理となりました。財団(韓国政府)の異議申し立てもすべて棄却されています。「解決策」そのものに法的疑義が突きつけられているとも言えます。

 

 このような状況を見るとき、今こそ日本の側から「誠意ある呼応」をなすべきです。岸田首相は5月7日の日韓首脳会談で、「私自身、当時、厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いです」と述べられました。同月21日には、尹大統領とともに広島の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れ献花をされました。これも岸田首相の「誠意」なのかも知れませんが、これだけでは足りません。

私たちは、強制動員問題を解決していくには、「解決策」のその先へもう一歩踏み込む必要があると考えます。そのような観点から下記のことを日本政府に要請いたします。ご検討のほどお願いいたします。

 

 

1 戦時における朝鮮人強制動員の事実を明らかにし、日韓間で戦時動員の実態、実相について資料、記録、証言等を突き合わせ、戦時動員についての共通の歴史認識を形成すること。

 

2 強制動員の被害者にあてて岸田首相が「反省と謝罪」を表明すること。

 

3 被告企業の三菱重工、日本製鉄に対し自主的に被害者に謝罪、賠償を行うよう促すこと。

 

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