声明

「もはや司法判断が覆ることはない 被告企業は判決を受け入れるべきである」

2023年12月28日

 韓国大法院(2部)は12月28日、三菱重工(2件)、日立造船を被告とする強制動員訴訟(計3件)で上告を棄却し、被告企業に損害賠償を命じる判決を確定させました。21日に続き(判決を出したのは3部)、大法院が強制動員被害者(遺族)の人権回復に向けた判決を出したことを私たちは歓迎します。

 

 今回の訴訟でも被告企業側は時効完成により請求権は消滅したと主張しましたが、21日の判決と同様に時効起算日は2018年10月30日とすると判断し、これを退けました。

 

 また、今回の判決では新たに日立造船に対する賠償支払いが確定しました。今まで大法院判決を受けた三菱重工、日本製鉄はいずれも判決を「遺憾」とし、判決履行に応じていませんが、日立造船も「日韓請求権協定および、これに関する日本政府の見解、ならびに当社主張に反するものであり極めて遺憾」とコメントしました。恐らく同社も判決を履行しないものと推測されます。

 

 しかし、このような態度は通用しません。いずれの企業も韓国で起こされた訴訟に応訴し、審理で自らの主張を尽くしました。その上で出された司法判断に従わないのはコンプライアンスに反します。しかもことは強制動員という重大な人権侵害に係る問題であり、国際労働機関(ILO)も強制労働条約違反と認定しているように、その歴史的事実を否定できないにもかかわらず被害者(遺族)に謝罪もしなければ、賠償も拒むということは国連「ビジネスと人権指導原則」に反します。

 

 被告企業は、韓国政府(財団)が「第三者弁済」で賠償支払いを肩代わりしてくれるだろうと考えているのかも知れません。しかし、本日判決を受けた原告は記者会見で、一斉に万歳を叫びながら喜び合い、被告企業に謝罪と賠償を要求しています。「第三者弁済」を受け入れる意向があるか問われた遺族は、「私は三菱と裁判したのだ」「とんでもない話」と一蹴しました(12.28付「聯合ニュース」)。韓国政府の「解決策」に寄りかかることはできないと認識すべきです。

 

 本日の判決で、大法院が強制動員被害者の慰謝料請求権を認め、被告日本企業に賠償を命じた確定判決は計8件となりました。今後、強制動員訴訟で韓国の司法判断が覆ることはほぼあり得ず、原告勝訴の確定判決がさらに積み上がるだけです。

 

 今こそ、強制動員を行った企業は過去の人権侵害の事実に向き合い、被害者(遺族)に真摯に対応すべきです。大法院判決を受け入れ、被害者に謝罪し、過ちを繰り返さぬことを誓って、強制動員問題解決に向けて進んでいくべきです。

     日本製鉄元徴用工裁判を支援する会

     名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会

     韓国の原爆被害者を救援する市民の会

     強制動員問題解決と過去清算のための共同行動

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231228大法院判決に関する声明(確定).pdf
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