声明

被告企業は大法院判決を受け入れ、強制動員問題の解決を図るべきである

 

2023年12月23日

 韓国大法院は12月21日、三菱重工、日本製鉄を被告とする強制動員訴訟で上告を棄却し、被告企業に損害賠償を命じる判決を確定させました。私たちはこの判決を歓迎します。

 

 強制動員訴訟で大法院が判決を出すのは2018年以来5年ぶりでしたが、判決は2018年判決を踏襲するものでした。①韓国裁判所に裁判管轄権はあるとし、②旧三菱重工、旧日本製鉄と被告企業は実質において同一であり、③不法な植民地支配及び侵略戦争の遂行と直結した反人道的不法行為(強制動員)に起因する慰謝料請求権は日韓請求権協定の適用外であると判断しました。

 

 新たな争点は、被告が主張する消滅時効の完成を認めるか否かでした。これについて判決は、④「強制動員被害者には2018年の全員合議体判決が宣告される時までは、日本企業を相手に客観的に権利を事実上行使できない障害事由があった」と判示し、被告の主張を退けました。

 

 この時効の起算点に関する判断により、今回の訴訟の原告の勝訴が確定しただけでなく、2018年大法院判決後に提訴(約60件、原告数は230名余)した強制動員被害者の訴えが時効で退けられることもなくなりました。今回の判決はこの点でも大きな意義を持ちます。

 

 これで韓国大法院が強制動員被害者の慰謝料請求権を認め、被告日本企業に賠償を命じた確定判決は計5件となりました。今後、被害者原告勝訴の確定判決がさらに積み上がることは確実です。

 

 これに対し日本政府、被告企業はいずれも「極めて遺憾である」、「1965年請求権協定で解決済み」とのコメントを出しました。林官房長官は、「韓国政府が(「解決策」に沿って)対応していくと考えている」と述べました。自らが為した過去の強制動員の歴史を反省することもなく、その痛みを背負ったまま生きざるを得なかった被害者(遺族)に向き合うこともせず、他人事のように「解決済み」と繰り返すだけの日本政府と被告企業に私たちは強い憤りと深い失望を覚えます。

 

 韓国政府の「解決策」(第三者弁済)では、問題は解決しません。韓国民法に基づけば、韓国政府(財団)が債権者たる原告に「解決策」を強制することはできないのです。「解決策」を拒否している原告の賠償金相当額を供託しようとして不受理となった事実がそのことを証明しています。また、大法院で被害者原告勝訴の確定判決が続き、財団が肩代わりする賠償金を受けとる原告が多数となれば、財団の資金では対応しきれないことも確実です。12月28日には、三菱重工2件、日立造船1件の大法院判決が宣告予定です。韓国政府の「解決策」は法的、財政的に破綻しており、被告企業資産の現金化は避けられません。

 

 21日に判決が出た時、生きてその判決を聞いた被害者原告は一人もおられませんでした(遺族原告1名を除く)。被害回復のための判決でしたが、遅すぎた判決でした。もはや残された時間はありません。

 

 今こそ、今回の判決当事者企業のみならず被告企業は強制動員を行った事実を認め、被害者(遺族)に真摯に向き合って、大法院判決を受け入れるべきです。被害者に謝罪し、過ちを繰り返さぬことを誓って、強制動員問題解決に向けて進んでいくべきです。

2023年12月23日

     日本製鉄元徴用工裁判を支援する会

     名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会

     韓国の原爆被害者を救援する市民の会

     強制動員問題解決と過去清算のための共同行動

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231221大法院判決に関する声明(確定版).pdf
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