韓国政府『解決策』と日韓首脳会談に関する声明

 

 

メディアの報道

  ・KBSが当日午後6時の「ニュース広場」で放映

   https://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=7652325

  ・神奈川新聞(4.15付)デジタル版で報道

   https://www.kanaloco.jp/news/social/article-973921.html

  ・赤旗(4.15付)で報道 

 

賛同団体・個人一覧

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 以上301団体・個人  (うち団体 15)

       (あいうえお順)  2023.4.13現在


 

 韓国政府『解決策』と日韓首脳会談に関する声明

 

 3月16日、韓国の尹錫悦大統領が来日し、12年ぶりに岸田文雄首相と日韓首脳会談を開催しました。この会談で、韓国側が強制動員問題で「第三者弁済」による「解決策」を提示し、日本政府はこれを「日韓関係を健全な関係に戻すものとして評価」し、受け入れました。

 

 「解決策」の内容は、①「日帝強制動員被害者支援財団」が判決の確定した被害者に賠償金相当額を「肩代わり」して支払う(第三者弁済)、②被害者の苦痛を記憶し、継承していくための事業を推進する、③支払いの財源は「民間の自発的寄与」等で用意する―というものです。

 

 しかし、これでは加害企業に賠償を命じた韓国大法院判決は実質的に否定されてしまいます。被害者が求めているのは加害企業の謝罪と賠償です。それがないままに「第三者弁済」で判決と同額の金額を受領させようとするのは、被害者の尊厳を損なうものです。

 

 存命の被害者原告(3名)は全員、今回の「第三者弁済」を拒んでおられます。韓国の民法も日本の民法と同様に、「第三者弁済」による支払いを受領することを望まない者に対しては、受領を強制することはできないと規定しています。今回の韓国政府の「解決策」を認めるとしても、問題の解決につなげるためには、日本の被告企業の謝罪と「財団」への資金拠出が最低限必要です。

 

 そもそも加害企業が謝罪し、償いのためのお金を支払うなどして問題を解決することは、日本の司法も促していることでもあります。

 

 今回の韓国人被害者らが日本で三菱重工業や新日本製鉄(現・日本製鉄)を訴えた裁判では、裁判所は「時効」「別会社」等を理由に原告の請求は棄却しました。しかし、被害者の受けた被害事実(強制連行、強制労働)は認定し、不法行為請求権が発生すること自体は確認しました。

 

 また、中国人強制連行被害者が西松建設を訴えた裁判では、最高裁は日中共同声明(1972年)で戦争賠償は放棄されており、サンフランシスコ条約(1952年)の枠組みで個人の請求権は残っているものの、裁判上訴求する権能は失われたとして原告の訴えを退けました。しかしその判決の付言で、強制連行・強制労働の被害者に対し、企業と関係者(国を示唆)は自発的に補償するなどして解決すべきだと勧告しました(2007年4月27日)。西松建設はこの付言に従って、中国人被害者への補償金の支払いや慰霊碑の建立などを行うことで和解しました。

 

 日韓請求権協定も日中共同声明と同じくサンフランシスコ条約に依拠する協定です。西松建設訴訟最高裁判決で示された付言は、日韓の間でも妥当します。日本政府は、日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」済み、個人請求権に基づく請求に応じる義務はなくなったと言いますが、韓国人の強制連行・強制労働の被害者に対しても、企業と国は自発的に補償するなどして解決すべきなのです。

 

 ところが日中間の問題では当事者間の解決を妨げなかった日本政府が、韓国の被害者との問題では企業が自発的な解決をすることに介入し、妨害しています。これは、日本政府の韓国に対する植民地主義継続の表れと言うほかありません。

 

 国連総会は1960年12月14日、「植民地と人民に独立を付与する宣言」を採択しました(決議1514(XV))。同宣言は、「外国による人民の征服、支配および搾取は基本的人権を否認するもので、国連憲章に違反し、世界平和と協力の促進にとっての障害である」と述べました。2001年のダーバン宣言は、「植民地主義によって苦痛がもたらされ、植民地主義が起きたところはどこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されねばならない」ことを確認しました。

 

 今日の国際社会では、植民地主義は誤ったものであり、克服されなければならないものと認識されているのです。ところが今回、日本政府の取っている対応は、朝鮮半島を植民地支配したことを現時点でも正当なものであったことを前提とするものであり、韓国国民の尊厳をも損なっています。強制連行・強制労働の被害者、そして植民地支配の被害者である韓国国民、彼らの尊厳を損なうような「解決」はあり得ません。「被害者不在では解決にならない」のです。

 

 日本が韓国との関係を改善していくためには、過去の植民地支配が正当であったとの歴史認識を改め、韓国人の被害者の尊厳を損なわない解決を目指すべきです。

2023年3月30日

 

 

〔声明発出者〕

足立修一(弁護士)・阿部浩己(明治学院大学教授)・庵逧由香(立命館大学教授)・伊地知紀子(大阪公立大学教授)・岩月浩二(弁護士)・内河惠一(弁護士)・内田雅敏(弁護士)・宇都宮健児(弁護士・元日弁連会長)・太田修(同志社大学教授)・大森典子(弁護士)・奥村秀二(弁護士)・加藤圭木(一橋大学准教授)・海渡雄一(弁護士)・清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授)・具良鈺(弁護士)・在間秀和(弁護士)・高橋哲哉(東京大学名誉教授)・張界満(弁護士)・戸塚悦朗(弁護士)・外村大(東京大学教授)・中沢けい(小説家・法政大学教授)・飛田雄一(神戸学生青年センター理事長)・前田朗(東京造形大学名誉教授)・宮下萌(弁護士)

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