報告
2025年1月10日(金)、三菱商事(金曜会)、日本製鉄、三菱重工に対する抗議・要請行動をおこないました。
以下に、当日の様子とアピール文を掲載します。
三菱重工本社前
日鉄本社前
1.10「丸の内行動」-三菱商事本社前でのアピール
2025年が始まりました。今年はアジア太平洋戦争での日本の敗戦から80年、日本が朝鮮への侵略(江華島事件)を本格的に開始してから150年。
いまだに強者による世界各地での虐殺、残虐行為が止むどころか激しさを増すばかりです。
時代の流れは軍事や暴力、上からの圧力ではもはや立ちいかないのですが、帝国主義、植民地主義の断末魔の時代に入った感がします。
日本のアジア侵略、加害責任も、いままでの無視、否定から逃れることはできません。
戦時に強制動員を強いた日本製鉄、三菱重工、不二越らの加害企業も、企業としてのコンプライアンス(法令遵守)だの、 ダイバーシティ(多様性)、sdg's(持続的可能な世界を作る目標)だの唱えるのであれば、強制動員して犠牲を強いた自社の加害責任に真正面に取り組み、犠牲になられた当事者やご家族、ご遺族に謝罪、反省、賠償することは当然なことです。
それなしには、グローバルな事業を展開しようと美辞麗句を並べても、世界では信用、信頼を得ることは決してできず、希薄な人権感覚の馬脚が現れ、事業の世界展開は実現できないでしょう。
高麗博物館では1月18日(土)に不二越徴用工訴訟を支援する北陸連絡会の中川美由紀さんの講演(オンライン予約あり)開催、8月9日(土)には1日2回日暮里サニー朝鮮女子勤労挺身隊の少女たちの歴史と戦後の裁判闘争、日韓の市民が連帯しての裁判支援を物語にした市民による演劇「ほうせんかIV」、初の東京公演を共催して応援します。
現在、高麗博物館の企画展(1月26日まで)には、若い世代始め多くの市民の皆さんが、教科書では検定下で記述がほとんどなくなっている強制連行、強制の歴史がどのようなものか、各地で犠牲者を追悼し、歴史を継承している市民の具体的な活動が何かを知ろうと大勢ご来館されています。
為政者が否定しようと思っていても、事実は何かを直視したい人びとがどんどん増えているのです。
あらゆる矛盾、非人道的な行為の本質を見抜こうと気付いた市民が今後は連携、連帯して、無関心、黙認、冷笑が覆う社会を様々な形で変えて行こうと動いていく2025年としましょう。
高麗博物館ボランティア
加藤 真
2025年1月10日 第1回 丸の内行動
日本製鉄および三菱の社員へのアピール
渡辺美奈(wam)
日本製鉄の社員のみなさん、こんにちは。私は、新宿にある日本軍の「慰安婦」制度の被害と加害を伝える資料館、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」の運営に携わっています。今日は、2025年の最初の金曜行動、第1回目の「丸の内行動」に参加させていただきました。
5年あまり前の2019年6月27日、ここから数十メートルの三菱重工本社前で、梁錦徳さんが社員に呼び掛けているのを私は聞いていました。梁錦徳さんは1944年、女子勤労挺身隊として名古屋の工場へ連れていかれ、過酷な労働と差別を生き抜いた人でした。「朝鮮人は人じゃなかった、動物と同じ」と語った梁錦徳さんの悔しそうな表情が今も忘れられません。
日本製鉄社員のみなさん、私はみなさんと同様に、戦争を自分が体験した世代ではありません。学校でも、日本人の戦争被害は学んでも、植民地支配や侵略戦争での日本の加害を学ぶことはほとんどありませんでした。アジアの戦争被害者の声を聞き、しかも、その苦しみが今も続いていることに気が付いたのは、学校を卒業した後でした。そして、責任を認めない日本政府、国会議員を選んでいる日本の有権者の一人として、私自身の責任を果たしたいと活動を続けて、30年以上が経ちました。
日本製鉄社員のみなさん、みなさんは有権者としての責任に加えて、もう一つの責任があります。それは、朝鮮の人たちを搾取し、人権を蹂躙し、その犠牲を踏み台に大きくなった大企業で働いていること、そしてその責任を問う被害者を目の前にして、いまだに謝罪もせず、賠償もしていない会社がうみだす利潤から給与を得て生活している、という責任です。恥ずべきは責任を認めないトップのみなさんです。そのような恥ずべき状態から脱するためにも、社員のみなさんには、ぜひ声をあげてほしいと思います。
今年、2025年は様々な記念日がめぐってきます。日韓請求権協定から60年、あるいは戦後80年。しかし、ここでまず、思い起こしたいのは、150年前のできごとです。1875年9月20日、日本は朝鮮を支配する足掛かりとして、江華島に軍艦を侵入させ、砲台を占領する江華島事件を起こしました。そして翌年には武力を背景に、釜山開港を迫り、不平等条約を強要しました。その後も、抵抗する朝鮮の民衆を殺戮し、日清、日露という名の戦争では、朝鮮半島や中国東北部を戦場にして、日本による支配を確立していきました。150年前の暴力による朝鮮支配の起点のできごとこそ、日本に住む者が記憶すべきだと思います。
そして、そのような支配そのものが反人道的不法行為であり、そのもとで起きた人権侵害については、日韓請求権協定の対象には含まれないと判断したのが、2018年の大法院判決でした。
反人道的な不法行為の内実を明らかにしてきたのは、何十年もの長きにわたって自分に起こったできごとを証言してきた、日帝の時代を生き抜いてきた人たちでした。
「もはや無効」の玉虫色の解釈に長年苦しんできた人たちにやっと見えた一筋の光であり、私たちにとっても、日本という国に加害の責任をはたさせるために、韓国の司法が示した一筋の光でした。
この一筋の光を大きな灯にしていくために、人間の命と権利を第一に考える政府にするために、今、韓国の市民たちは闘っているのだと思います。尹錫悦政権はいずれ倒れるでしょう。心配なのは日本です。韓国でうまれるであろう民主的な新政権が、日本の植民地支配の責任、反人道的不法行為の責任を外交課題にあげたときに、それを受け止めて、ともに歩みだすための世論を、今からつくっていかねばなりません。
日本製鉄社員のみなさん、2025年の初頭にあたり、その準備を今から始めませんか。
1月10日「丸の内行動」
野平晋作さん(ピースボート共同代表)アピール
野平晋作
本日は、(三菱重工、日本製鉄)が韓国の大法院の判決に従い、被害者に謝罪と賠償をするよう求めるためにここに来ました。
今年は日本の敗戦、朝鮮韓国の解放から80年目の年になります。そして、日韓国交正常化から60年の年でもあります。私は、日本による植民地支配で傷つき、人権侵害を受けた人々の名誉を未だに回復させることが出来ないでいる状況を恥ずかしく思っています。
1965年の日韓請求権協定で解決済みというのは詭弁です。日本政府も日韓請求権協定で放棄したものは外交保護権であって、個人の請求権ではないと述べてきました。その後、被害者個人の裁判での請求権も放棄したと述べるようになりましたが、少なくとも日韓請求権協定は加害企業が人権侵害の事実と責任を認め、被害者に主体的に謝罪し、賠償することを禁じていません。企業が主体的に被害者と和解することに何の支障もないはずです。どうか勇気を持って、加害事実を認め、被害者の方々に謝罪と賠償をして欲しいと思います。
韓国では、連日、極寒の街頭で、尹錫悦大統領の退陣を求めるデモが行われています。民主主義は闘って勝ち取るもの、また、闘いぬいて守るものだということを韓国市民の身を挺した闘いから、私はあらためて教わった気がしています。強制徴用、強制労働の被害者の請求権を認めた韓国司法の判決はそうした韓国の民主化の成果だと思います。
私はこの民主化した韓国に呼応できる日本社会をつくっていきたいと思っています。日本による植民地支配は違法で不当であり、そこで行われた人権侵害はゆるされないという歴史認識を韓国の市民と共有し、大韓民国憲法に忠実に判断を下した韓国の司法判決を尊重できる日本社会を実現したいと思います。
ドイツでは、加害国ドイツの企業、自治体、政府が参加して「記憶・責任・未来」財団をつくり、強制労働の被害者に賠償しました。日本政府も日本の企業も参加しない韓国政府傘下の財団が賠償を肩代わりするのでは本質的な解決になりません。また、それでは同じ過ちを繰り返さない日本をつくることもなりません。まず、(三菱重工、日本製鉄)には、模範になるような態度を示して欲しいと思います。被害者への誠実な謝罪と賠償を求めます。
皆さん、共に頑張りましょう!
【連帯アピール】
今まで皆さんとは三菱重工株主総会への抗議行動で何度もご一緒してきました。今回のお声かけに感謝します。
軍需企業最大手の三菱重工は、侵略戦争や強制動員の責任すら果たさぬまま、今や「ミサイルモンスター」になろうとしています。
第一に、イギリス、イタリアと組む次期戦闘機共同開発のプライム企業となっています。愛知県の小牧南工場を中心に開発され、昨年3月には殺傷能力の塊である次期戦闘機の第三国輸出までが解禁されてしまいました。今や、イエメンを無差別空爆してきたサウジアラビアさえもが共同開発に加わろうとしています。
第二に、異常なまでのミサイル特需です。2025年度の配備が迫っている「12式地対艦誘導弾能力向上型」をはじめ、高速滑空弾、極超音速誘導弾など4種類もの長射程ミサイル、すなわち憲法違反の敵基地攻撃ミサイルの開発・製造を行っています。それに留まらず、中国、ロシアなどの極超音速滑空兵器を撃ち落とす新型迎撃ミサイルの日米共同開発も請け負っているのです。こうしたミサイル特需を柱に、2023年度の契約額は1兆6803億円に膨れ上がりました。
第三に、殺傷武器の輸出です。オーストラリアの新たなフリゲート艦の共同開発商戦に官民一体で参加し、有力な2候補に残っています。加えて現在、石破首相が訪問しているインドネシアへの護衛艦の共同開発も狙っています。おそらくその先には、完成した12式地対艦誘導弾能力向上型の東南アジア輸出も目論まれていくでしょう。
こうしたタガの外れた「死の商人国家」への堕落の動きに対して、私たち平和運動は全くと言っていいほど、対抗できていません。NAJATは日本消費者連盟、主婦連合会とともに、三菱重工と三菱電機に対する申し入れや記者会見を行い、社長宛てのハガキ運動や不買運動を呼びかけてきました。ただ、取り組みはあまりにも不十分です。
政府の大軍拡のための有識者会議に、宮永三菱重工会長が公然と入り、利益を誘導していく「利益相反」がまかり通るという状況です。三菱への「NO!」をハッキリと形にしていくために、より一層、連携を強めていきましょう。
杉原浩司 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表
1.10丸の内行動-伴幸生さん(首都圏なかまユニオン)のアピール
日本製鉄はUSスチール買収をめぐってアメリカ政府による政治介入は認められないとして裁判を起こす一方で、韓国大法院判決は認められないとして日本政府の政治介入を受け入れています。ダブルスタンダードそのものです。
このように企業として国際社会に対する責任を果たさない日本製鉄に対して、私たちも連帯して闘っていきます。
●参考資料
ノーベル平和賞の授賞式に出席された韓国人被爆者に関する聯合ニュース(日本語訳)
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